美容室の同行で感じた事

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「髪を切りに行きたいけど、行けなくなってしまったので何とかしてほしい」
とある女性利用者さんの個別支援計画のモニタリング時に聞かせていただいた話でした。

美容室に行けなくなった経緯を聞くと、前回に行った際に嫌な思いをされたとか。

「私は障がい者やから、健常者と同等のサービスは受けられない。差別されている」と悲観的に考えられていましたので、「私が行って、店側に説明しますよ」と安請け合いしました。
「私の病気のことや服薬のこと、通院のことなどを店に説明してください」と頼まれました。

そして、本日の支援に至りました。

美容室のスタッフが利用者さんに不快な思いをさせないよう、利用者さんの思いを代弁できるように私が同行したわけですが・・・
本日は楽しそうに美容師さんと話をされていました。

私以外に担当ヘルパーもついており、美容師とのやりとりに困った時にはヘルパーが間に入って説明してくれました。
私は来なくても良かったような・・・

まあ、来なくて良いくらいなら平和で良いということです。

カットを終えられた利用者さんが戻ってこられ、待合室にいた私と合流しました。
「中野さん、お店に言いたいことはないですか?」と利用者さんからありました。

「えっ、特にないですが、何か伝えて欲しいことはありますか?」と答えると、やはり病気のことなどを店側に伝えて欲しい様子。


終始、良い雰囲気でカットが進んだのに、言う必要があるのだろうか・・・?
悩んだ結果、「前に、この店で嫌な思いをされましたが、今日はとても気持ち良くカットしてもらえたので、また次回も来られそうです」とだけ伝えました。

結局、病気や障害のことは伝えずです。
それでも、「また、次もあの人に切ってもらおう!」と利用者さんは満足そうでした。


一件落着です。


美容室で利用者さんから病気のことを伝えて欲しいように言われた時、正直、私は言えませんでした。



利用者さんの障害や病気について『言えなかった』のは・・・

美容室の雰囲気に圧倒されたというか、なんだか場の空気を変えてしまいそうだったからです。
駅前のお洒落な美容室でした。
スタイリストは数名おられ、気配りもキッチリされたスタイリッシュなお店。

利用者さんのカット時、自然に応対され、本当に良い時間を過ごされているように見えましたし、カット後は綺麗になられていました。

一人の女性が美容室でカットをして帰るという何気ない風景でした。

そこで、「この方は統合失調症で被害者意識が強く、周囲の声などが気になられます。担当美容師の方は配慮してください。今後もヘルパー支援で利用させていただきますので、宜しくお願いします」といってしまうことで、この場の雰囲気が一気に『福祉支援のケース』になってしまうような気がしました。
ヘルパーやサービス提供責任者が同行している時点で『支援のケース』な訳なのですが、それを口に出すことで利用者さんと店との距離感を生みそうに感じました。

美容室からすれば、利用者さんは他と変わらない予約客です。
それに付き添っているヘルパーと私はいびつな存在だったのかもしれません。
付き添いがいる時点で、店側も『何かしらの福祉支援』と感じていたかもしれませんが、それを我々には感じさせず自然な接客でした(当然なのでしょうけど)。



美容室では「この人は障害者です」と言葉にしないのに、福祉関係のケース会議では『障害者』であることを前提に話をしている自分にも気付きました。
何気ない生活者であるのに、私は自然と『障害者』というフィルターを通して利用者さんを見ています。

そらいろの利用者さんは「障がいがある◯◯さん」ではなく、「城陽市に暮らす◯◯さん」であるはずなのに。

電車やバスに乗るときや外出時に、ヘルパーは普通に「障害者割引で!」と伝えます。
もしかすると、これにより『ごく自然なお出かけ』が、福祉的な『ガイドヘルプ』になってしまっているのかもしれません。

誰もが当たり前の生活ができるように支援することを理念としているのに、私の言動が障がいがある方の当たり前の生活を福祉的な生活に変えてしまっているのかもしれません。

そんなことを考えると、支援の仕事って奥が深く、難しいですね。


「ナンノコッチャ」という記事になったかもしれませんが・・・
by tumanokokoro | 2015-03-19 23:13 | つぶやき | Comments(0)