ボルトを締める仕事
2014年 03月 11日
ボルトとナット。
町工場の風景ではありません。
とある施設の一室にて作業活動をされている利用者さんの支援をしています。
「仕事をしないといけないですね」と言われている利用者さんがボチボチと仕事を始めるための活動として行われています。
自宅で作業活動を行うところから始め、次に相談支援センターの相談室で行っています。
静かな環境で作業を行い、少しずつ就労施設へ移行していくという支援プランです。
支援者間で試行錯誤しながら、約二年の歳月をかけて支援しています。
時間はかかっていますが、利用者さんのペースにて進んでいます。
このまま定着していけば、次は通所施設内で作業を行います。
そして、通所施設職員へと引き継ぎ、通所利用という事になるのでしょう。
とりあえず一件落着かもしれませんが・・・
この利用者さん、いろいろな経緯があり、就労支援施設を退所する事になり、家に引きこもられ、入院され、何だかんだあっての今です。
生活習慣が乱れ、そこの立て直しの支援も長く行いました。
「カッコいい仕事がしたいですね」というのが、元々の希望(夢)でした。
それを叶えるため、支援者側が出したプランが「まずは仕事をする事に慣れていく」事からのスタートでした。
利用者さんのサービス等利用計画書には、カッコいい仕事につくためのプランが書かれています。
ますは生活介護施設。
次に就労支援施設。
就労支援施設からカッコいい仕事に就く為の支援を受けるようなイメージでしょうか。
利用者さんのニーズは「カッコいい仕事に就くこと」であって、「施設に通所する事」ではありません。
しかし、今の支援は「通所利用に向けて、施設に慣れること」を目的にしています。
長いスパンで見て、いま必要な支援であることは分かります。
しかし、何処か違和感が・・・
私は今までに、生活介護施設→就労支援施設→一般就労と移行した方を知りません。
そんな事例を聞いたこともありません。
そんな前人未到な支援を行う事が出来るのでしょうか?
今の支援プランは現実的なのでしょうか?
結果的に通所施設に落ち着けるゴールにならないでしょうか?
利用者さんの希望自体が『カッコいい仕事』と漠然としている為、何を持ってカッコいいのかは今後の話し合いの中で出てくるとは思いますが・・・
ボルトを締める仕事に、カッコ良さを見出されれば、それでも良いですが。
「働きたい」と希望があれば、まずは福祉的就労から訓練していくという考えは分からなくもないですが、何か遠回りしているような気もします。
ケースバイケースなのでしょうけど。