待つこと、待たせること
2011年 07月 08日
利用者の多くは知的障がいと重度の身体障がいを持たれていた。
この職場で最初に教えてもらった事は「待つ事」。
この施設のプログラムは朝の会1時間、昼食1時間半ほど、散歩、ストレッチなどだった。
もちろん、その間にトイレや水分補給の時間がある。
6時間ほどの通所の時間はのんびりとしたものだった。
これは利用者さんのペースに合わせて過ごしていた為。
体が動かしにくい利用者さんが、自身で行動を起こした時、又は発信した時に職員はそのペースを守り尊重していた。
食事の時間も全介助だからといって職員のペースで進めない。
「何が食べたい」と聞く事や、咀嚼、嚥下を見守りながら介助を進めていく。
何事においても利用者さんのペースで動く。
これは簡単そうで、難しい面もあった。
ついつい手を出してしまうのが支援者の悪い癖。
私も利用者さんの声を聞かずに先回りして「余計なおせっかい」をしてしまう。
「待つ事」は意外と難しい。
しかし、待つ事は大切。
利用者さんから行動を起こそうとしてくれている時、支援者が待てないと利用者さんは自発的な行動を起こさなくなってしまう事もある。
私は3年ほど重症心身障がい者施設で勤めた後、現職場の知的障がい、自閉症の方の施設で勤める事になった。
ここでは利用者さんの動きが速く、全施設とは時間の動きが違っていた。
「待つ事」より「行動の予測」が求められた。
それでも私は待つ事を大切にしていた。
ある作業中、自閉症の利用者さんが作業を終えてもその場から動かなかった。
私はすぐに指示せず、利用者さんの行動を待つ事にした。
1分、3分、10分しても動かず・・・
そして私が利用者さんの元へ行くと・・・
バシバシ!!
私は叩かれてしまった。そして、利用者さんは興奮状態。
後から考えると、あの時の利用者さんは作業後の予定の見通しがついていなかった。
「次は何をするのか」を私は示していなかったし、指示もしなかったので、指示されるまで「待たされていた」のだと思う。
自閉症の方への支援でも支援者が「待つ事」は大切だと思うが、本人が「見通しもなく待たされている」状態は苦痛な時間だと思う。
障がい者支援といっても、障害特性や個々人の性格などによって支援の仕方は異なる。
その人にとって意味のある時間を保障する事が大切なんだと今になって思う。
重症心身障がい者の方がゆっくりと行動を起こすのを待つ事、自閉症の方が見通しを持って行動する事。
これらの時間を私は守っていきたいと思う。
ツイッターから来ました(kyokyo2gou です)。
「待つこと」。ほんとに大切なことですよね。
私は「待つこと」を子どもに教えてもらいました。
ダウン症の息子から、他にもいろいろなことを教わり、
この子が私のところに来てくれなければきっと知り合えなかった
いろいろな人との出会いも「プレゼント」だと思っています。
起業されるとのこと。きっと素敵な事業所になるだろうなぁと、
ブログを拝見し感じています。
待つ事の大切さは支援を通じて感じる事ができますね。我々、支援者にとって一番大切な事は待つ事なのかもしれませんね。